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2008年2月29日
2008年国際言語年に関する財団法人日本エスペラント学会の声明
今年、2008年は国際連合が定めた「国際言語年」にあたります。これについて、財団法人日本エスペラント学会は自らの立場と考えを下記の声明として発表いたしました。関連資料とともにお送りいたしますのでご覧ください。
記
1. 声明本文
2. 資料:2008年を「国際言語年」と定めた国連決議(抄)
3. 資料:2008年国際言語年についてのユネスコ談話
4. 資料:国際母語の日
5. 資料:国際語エスペラント運動に関するプラハ宣言(抄)
6. 資料:第92回世界エスペラント大会決議
7.
参考:よく受ける質問(国際言語年について)
1.声明本文
2008年国際言語年に関する財団法人日本エスペラント学会の声明
私たち財団法人日本エスペラント学会は、「エスペラント運動に関するプラハ宣言」にもられた多言語性に留意してエスペラントの普及を進めており、世界の言語状況を社会との関連で検討いたしました。
その結果、私たちは、現在の日本では「外国語といえば英語である」といった誤った認識が世間にあることを憂慮し、2007年8月の第92回世界エスペラント大会の大会決議が時宜にかなっていることを認識し、ユネスコの松浦晃一郎事務局長の国際言語年を祝す談話を精査した上で、2008年が国際連合総会で国際言語年に選ばれたことを歓迎いたします。
しかしながら国際連合そのものの取り組みは、公用語6言語のみを重視する姿勢が強いことは欠点であるとの立場に立ちます。
そして、ユネスコが世界の多言語化にとりくむ思いを共有し、エスペラントが、父母の言語あるいは初等教育の言語が違う人々を結ぶ架け橋の一つであることを訴えます。

2.資料:2008年を「国際言語年」と定めた国連決議(抄)
国際連合第61回総会 (2007年5月16日)広報[抄]
国連総会は多様性の中の統一、世界的な相互理解を推進するために2008年を国際言語年として宣言する。
本日午後、総会は真正の多言語主義が多様性の中の統一と国際理解を推進することを認め、2008年を国際言語年と宣言した。
無投票で総会は、国連が、言語と文化の多様性を保護し保存することを目的に多言語主義を追及することを認め、国連の6つの公用語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)の平等性が最高度に重要であることを強調した。
この観点から国連総会は国連事務総長に、全ての言語による業務が平等に扱われること、平等に良好な作業環境と資源が与えられることを要請した。事務総長はまた、過去の重要な国連の文書がすべて国連の6公用語にて早急にウェブサイトに公表されることを要請された。
(後略)
(試訳:日本エスペラント学会)
3.資料:2008年国際言語年についてのユネスコ談話
2008年の国際言語年を祝すユネスコ事務局長・松浦晃一郎氏の談話
(2007年11月)
2008年は国際連合総会にて「国際言語年」と宣言されました。ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は本言語年にあたりその活動を調整する役割を担い、先導者としての役割を果たすつもりです。
ユネスコは、人類がこの先数十年にわたって直面せざるを得ない数多くの課題に対して、言語が決定的に重要だということを深く認識しています。
事実、諸言語は人々の集団や個人のアイデンティティ(自己同一性)と平和共存にかかせません。諸言語は、世界と地域とが調和を保ちつつ持続的発展をとげるための戦略的な要因をなしています。
諸言語は「万人のための教育」で掲げられている6項目の目標と、国際連合が 2000年に採択した「ミレニアム開発目標」(以下、「ミレ目標」と略す)を達成するために最大限に重要です。
諸言語は社会の統合の要因として、極度の貧困と飢餓を撲滅する(ミレ目標1)ためには 戦略的な重要性を持ち、また普遍的な初等教育を達成する(ミレ目標2)ためには識字、 学習と生活力を身に付ける上での柱となります。HIV/エイズ、マラリア、その他の病気のまんえんと闘う(ミレ目標6)ためには、直面している人たちが使う言語によることが必須です。 そして自然環境の持続可能性を確保する(ミレ目標7)ために、現地のそして先住民の智恵と知識とを保護することは現地と先住民の言語に密接に結びついています。
さらに、文化の多様性が言語の多様性と密接に結びついていることは、文化の多様性に関するユネスコ世界宣言とその行動指針(2001年)、無形文化遺産の保護に関する条約、文化的表現の多様性の保護と促進に関する条約(2005年)に示されている通りです。
しかしながら、今後数世代の間には、世界で話されている七千の言語の内の50%が消滅するかもしれません。現在学校やサイバースペースでは、その内四分の一に満たない言語しか使われていず、多くの言語は散発的に使われるにすぎません。何千もの言語が、日常のコミュニケーション手段として人々の集団で使われているにもかかわらず、教育体系、通信手段、出版業やいわゆる公的な場面から疎外されています。
われわれには緊急な行動が必要ですが、いかにすべきでしょうか。それぞれの言語コミュニティに対しては、第一言語ないし母語を、教育も含めてなるべく広範にまた頻繁に使うような言語政策を立て、国民的または地域的、そして国際的に使われる言語の習熟と併行させるよう奨励します。また、優位な言語を話す人たちにも、他の国民的、地域的言語、さらに一つか二つの国際的な言語に習熟することを奨励します。複数言語主義が完全に根付いてこそ、全ての言語がグローバル化した世界の中に自らを位置付けることができます。
そこでユネスコは各国政府、国際連合の諸機関、市民社会の諸組織、教育機関、専門家団体、そのほかの全ての関係者に対して、個人的、集団的な諸場面において、全ての言語、特に絶滅に瀕している言語に対する尊敬、促進と保護とを増進させる取り組みをされるよう要請します。
教育面、サイバースペース面、教養面での取り組みによって、絶滅に瀕している言語の保全事業によって、社会の融合のための道具に言語を使おうとすることによって、言語と経済の関係、言語と先住民の知識の関係、言語と創作の関係などを探求することによってか、以上いずれの手段によっても「言語は重要だ」という考えがあらゆるところに広報されることが必要です。
この意味で2008年の2月21日が第9回の国際母語の日にあたることは重要な意義をもち、諸言語の発展をはかる方策を導入するのに適した期限といえます。
われわれの共通の目的は、国家的、地域的、国際的な段階において、言語の多様性と複数言語主義の重要性が教育・行政・立法制度の中で、文化的な表現とコミュニケーション手段の上で、そしてサイバースペース上や商業上も認められることです。
2008年の国際言語年はこれらの目的を達成する上で決定的な進展をもたらす独特の機会となるでしょう。
松浦晃一郎
(試訳:日本エスペラント学会)
4.資料:国際母語の日(2月21日)
国際母語の日について (ユネスコ発表による)
国際母語の日は毎年ユネスコの加盟国と本部で、言語と文化の多様性と多言語主義を推進するために祝されています。
言語はユネスコの目的の中でも核心にあります。諸言語はわれわれの有形・無形の文化遺産を保存するためのもっとも強力な手段です。
母語を広めるための全ての運動は言語の多様性と多言語教育とを勇気付けるだけでなく、世界中の言語と文化の伝統について存分に意識を高め、理解と寛容と対話に基づいた連帯感を養うことにつながります。
(試訳:日本エスペラント学会)
5.資料:国際語エスペラント運動に関するプラハ宣言(抄)
国際語エスペラント運動に関するプラハ宣言(1996)
私たち、エスペラントの発展のための世界的な運動に加わる者たちは、この宣言をすべての政府、国際組織および良心ある人々に対して送り、ここに表明された目標に向けて私たちが不退転の決意をもって活動し続けることを宣言するとともに、それぞれの組織と個人とが私たちのこの努力に加わるよう呼びかける。
エスペラントは、1887年に国際的コミュニケーションのための補助言語案として提唱された後、生命力と表現力に富んだ言語へと速やかな発達を遂げ、すでに一世紀以上にわたって言語と文化の壁を越えて人々を結びつける働きを果たしてきた。エスペラントの使用者たちが目指してきた理想は今なお重要性と現代的意義を失っていない。私たちは公正で効果的な言語秩序のためには以下に述べる原則が必須であると考えるが、いずれかの民族語を世界語として使用しても、また今後いかに通信技術が進歩し、新しい言語教育法が開発されるにしても、これらの原則を実現することはできないであろう。
1.
民主制 (中略)
2.
民族性を超えた協力 (中略)
3.
教育上の効果 (中略)
4.
多言語性
エスペラントの共同体は、その構成員が例外なく二つ以上の言語を話すという、世界的規模の言語共同体としては数少ない例の一つである。構成員はそれぞれ、少なくとも一つの非母語を会話のできる程度まで学ぶことを自己に課している。多くの場合、このことは複数の言語に対する知識と愛着をもたらし、ひいてはその人の視野をより広くすることにつながっている。
どの言語の話し手にも、その言語の大小を問わず、コミュニケーションが可能な高い水準まで第二言語を習得する現実的な機会が与えられていてしかるべきだと、私たちは主張する。私たちの運動はその機会を提供するものである。
5.
言語上の権利 (中略)
6.
言語の多様性 (中略)
7.
人間の解放 (後略)。
6.資料:第92回世界エスペラント大会決議
第92回世界エスペラント大会決議(2007年8月、横浜).
第92回世界エスペラント大会は,57カ国から1901名の参加者が日本の横浜に集い「東洋の中の西洋〜受容と反発」をテーマとして討議した。
本大会は,「西洋」と「東洋」の間では思想や影響が双方向に行きかっているにもかかわらず,不平等があるためにこの相互性が見えなくなっていることを認め,
また同じ要因のためにアジアの国々の間でも思想や影響の流れが妨げられていることを認め,
「西洋」と「東洋」という概念をあまりに硬直的に捕らえることで地域間の対話が妨げられていることに留意し,
2008年が国際連合総会によって国際言語年と宣言されたことに満足をもって留意し,
諸文明・諸文化間の関係は衝突ではなく,相互理解,正義そして平和が基盤となるべきことを勧告し,
さまざまな言語や文化を持った人々を橋渡しする能力がエスペラントに潜んでいることを確認し,
同時にエスペラント共同体の内外において異文化間に生じている問題を意識し,
問題解決にたずさわる機関や団体と協力することが緊急に必要であると指摘し,
アジア内外で地域協力が生まれることがその地域でエスペラント活動が発展する前提条件でもあることを宣言し,
多様性の中での統一を推し進める手段として,エスペラント共同体が真の複数言語主義を無条件に支持することを言明し,
国際連合の定める国際言語年の目標達成のために尽力するようエスペランティストへ呼びかけるものである。
7.
参考:よく受ける質問(国際言語年について)
財団法人日本エスペラント学会が、2008年国際言語年についてよく受ける質問
*本回答は財団法人日本エスペラント学会「言語年検討チーム」がおこなっています。
これ以外の事項や考え方もありますので、ご検討の一助としてください。
問1:国際言語年の施策、行事は誰が実施しますか。日本ではどうですか。
答1:国際言語年は、国際連合が国際連合自身、加盟各国、国連諸機関や関係者、賛同者に施策、行事を行なうよう呼びかけているものです。特に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は関連行事を行ないます。日本では、社団法人日本ユネスコ協会連盟にこのお知らせが載っています。今のところ、具体行事の発表は、下の表に示すエスペラント界の行事以外にはほとんど知られていません。(2月28日、本会調べ)。
|
日付 |
場所 |
関連行事 |
行事主体 |
問合わせ先 |
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4月19日(土) |
東京・ 本会教室 |
講演(春のエスペラント1日公開講座の一環として) |
都区内エスペラント会連絡会 |
本会 |
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6月14日(土) |
東京・ 本会教室 |
講演(「エスペラントの日」記念講演会の一環として) |
本会 |
本会 |
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10月12日(日) |
和歌山市 |
講演(「シンポジウム・文化の多様性と言語」の一環として) |
本会他 |
本会 |
問2:国連やユネスコの国際言語年の取り組みは、国際共通語エスペラントについて触れていますか。
答2:いいえ。私たちの知る限り、これらの機関では、諸国の言語、諸民族の母語の重要性、振興について強調して述べておりますが、エスペラントについては触れていません(2月28日、本会調べ)。
問3:なぜエスペラントの団体が国際言語年に賛同するのですか。国際語エスペラントは、諸民族語の対極ではありませんか。
答3:私たちの団体を含め、多くのエスペランチストは、諸民族が友好を保ちつつ交流を深め、文化を発展させていくためには、「自分の国、自分の民族の内では、自国語、自民族の母語を用い、国際間、民族を超えた交流には、中立・公平で学習の容易なエスペラントを用いよう」という考えでおります。民族語とエスペラントの二言語(以上)の併用です。従って、民族語とエスペラントは、矛盾するものではなく、国際言語年の、特にユネスコの掲げる諸目標に私たちが賛同しています。
問4:外国のエスペラント団体の取り組みを教えてください。
答4:世界エスペラント協会(Universala
Esperanto-Asocio、UEA)は、今年の7月に第93回世界エスペラント大会をオランダのロッテルダムで開きます。この大会の際に、関連の講演会や討論会がもたれる予定で、現在計画中です。また、イタリアなどでも、同様に各種機関への働きかけが計画されています。
問5:「国際言語年」について他の言い方はありますか。
答5:「言語の国際年」とも言います。また、言語の多様性を豊かさとして尊重するユネスコの考えからすると「国際多言語の年」が適切な名前という意見もあります。
